Living | 葉的MANHATTAN☆HOUR
たまゆら、の. . .

【2014.03.16 Sunday 05:55
 ニャンニャちゃん、窓を開けたよ。風はまだ冷たいけど、けれど確かに春を告げる暖かみを帯びた黄金の日射しが、この部屋にも注いでいます。



きみが天に翔びたった日も、こんなふうに窓を開けたね。苦しそうに浅い息を小刻みについていたきみは、窓から入る夜気にかすかに首をのばし、「あれ?」と、少し嬉しそうな顔をした。街が聖誕祭の灯りに彩られていた季節。あの日、十二月二十三日だけは、なぜか空気がとろりと柔らかかった。

前の週に海外出張に行っていた僕を、きみは、世話をしにきてくれていた友人の娘さんと一緒に待っていてくれた。あの時はまだ元気で——————。

三年ほど前から腎不全で一日おきに点滴が必要だったし、去年は糖尿病の診断を受けて半日おきに注射もするようになっていた。あんなに高いところに飛び乗るのが得意だったきみがベッドに自力で飛び上がれなくなって、だから小さなスツールとクッションを集めて階段をつくったね。その階段を、一段、一段、確かめながら上がるきみのふわふわな後ろ姿を見守っていたのは、ほんの昨日のようで。

3

夏の終わりから僕の仕事が忙しくなって、仕事と学校とで帰宅は毎日十一時過ぎていた。朝もバタバタと支度をして、教科書読みながら珈琲淹れて。

それでも朝いちばんに「今日はどれにしようか? 楽しみだねえ」と云いながら猫缶を選んで。きみがはむはむとごはんを食べる仕草を見守るのが何より好きだった。きみは以前まで使っていた「食卓」の高さでごはんが食べられなくなって、床に寝そべって「お膳」でごはん食べて。なにもかも、上手だったね。大好きなスープも綺麗に平らげて。ごはんもご不浄も、いつも、とっても、上手だったね。


秋の終わりごろからきみは、床に寝そべって前足を「猫組み」しながら、ときどきふと宙を見つめるようになった。

光の加減によって深い深い湖の色みたいになる黒曜石のあのでっかい瞳で、あれは床上数十センチくらいかしら? 誰か、僕の目には見えないひとが宙にいて、ニャンニャちゃんに会いにきたのかしら、と思っていた。




ひとにもどうぶつにも、「その時」が来ると、導いてくれる存在がいる————とも聞いたことがある。真実や科学的根拠なんてものは判らないけれど、そんなふうに天使や精霊のような存在がいたらいいなと思うし、いるのではないかと思うから、時折宙をじっと見つめるきみの瞳を追いながら、僕は心の底で、「その時」が近づいてくることを怖れ、覚悟していた。

あの頃、毎日毎日あんなふうに忙しくて駆けてばかりだった僕を、ひとりで待っているのは寂しかったでしょう。ごめんね。

どうしようもない量の「やらなくてはならない仕事」というものが目の前に堆積していて、毎晩ひとりで職場に残っては、「ニャンニャちゃん、ごめんね、ごめんね」て云いながら仕事をしていた。自分は莫迦だなあと思うけど、精一杯駆けて、駆けて、駆けて、それ以外、それしか、どうしようもなかった。

きみはいつもきろきろの丸い目で、家に戻った僕を見つめ、喉をごろごろ鳴らしながら迎えてくれたね。ふわふわのきみを抱いて、赤ん坊をゆするときみたいに軽くゆすると、きみは小さな前足を僕の首に回して、いっそう嬉しそうに喉を鳴らしてくれた。




聖夜も近づくあの頃、年を越す前にきみが旅立ってしまうなんて、思いもしなかった。出張から戻った翌日は、まだ元気だったものね。足腰が弱ってきていたのを心配していたけど、訪問診察に来てくれた獣医さんの前でも四本足で立って、歩いてくれた。血液検査の結果も良好だったし——————。

でもその翌朝から、急に歩けなくなってしまったね。前足をパタパタやりながら、きみは自分でも「あれ? 変だよ?」と当惑しているみたいだった。

ごはんやご不浄をどうするか、僕の友人の紋遜さんも駆けつけてくれて、看病を助けてくれたけれど。あっと云う間だった。あっと云うまに、ごはんも食べられなくなって。起き上がれなくなって。

ニャンニャちゃん、大きなまん丸い目でこちらを見ては、声にならない声で、話しかけてくれた、ね。

あの日はそれまでの寒さが妙に和らいで、空気が甘く、優しかった。

少しだけ降った雨のちょうどよい湿り気が、風に丸みを帯びさせて。きみを迎えるために、天使さまが、冬のさなかにぽっかりと空いたポケットみたいに優しいひとときをくれたのかなって、そんなふうに思える不思議な一日でした。




ありがとう、ニャンニャちゃん。

いろんな名前をもっていたきみ。

プリンセス・ニャニャムージカ・チャマスカヤ。長過ぎて発音できない名前を、獣医さんや看護士さんには「チャマ」て教えた。日本語では愛称に「〜ちゃん」とつけるのだと知った看護士のジーナは、うちに訪問診察に来るたびに「チャマちゃん! わたし、チャマちゃんがだぁーいすき!」と、きみを抱きしめてくれたね。病院でもきみは人気者だったし、通院のとききみを抱いて近所を歩くと、「まあなんて美猫でしょう!」とお褒めの言葉をいただくこともしばしばだった。

僕の書くものに登場するときは「ひめひめ」という愛称で登場してもらいました。英語でもよく「regalな子ね」と形容されていたけど、生まれながらに王族の風格を持っていたきみ。可愛い顔と不釣り合いな濁音の混じった声でよく叱ってくれたっけ。



ナナ、と呼んだりNoonaと呼んだりしたけど、いつも濁音の混じった元気な声で返事してくれたね。猫じゃらしのおもちゃを相手に「かくれんぼ」したり、シャカシャカのボールで猫サッカーもしたね。なんでも上手だったね。

オレゴンに引っ越したときも、紐育に帰ってきたときも、一緒だった。オレゴンでは毎朝早起きをして、向かいの軒のホシムクドリ一家が朝、飛ぶ練習するのを眺めていたっけ。

随分昔になるけど、日本にも行ったよね! 長く怖い空の旅。並んだケージの中、大粒の涙をこぼして怯えていたシャム猫めめちゃんの横で、きみはじっと身体をこわばらせて耐えていたっけ。(米国に戻れないかもしれない、という状況の中で旅させてしまったけど、あんな旅はもう絶対にさせないと誓った...


人生の中には辛いことや悲しいこともあって、自分の生きる意味さえ見失った時期もあったけど、そんなときもニャンニャちゃんがいるから、妙な事など考えず、自分は元気に生きてなくちゃいけないって思った。



はじめてこの街に来た冬、あの雪が降って、降って、降って、降り続いた冬に、上東街のアパートを借りたとき、家具と一緒に部屋に「ついてきた」きみ。元の飼い主だったひとは猫たちの世話もお願い、と云って他の街に行き、僕があの部屋を出るときも実にあっさりときみたちを連れていくことを快諾してくれた。そう、あの部屋ではじめて会ったとき、きみとめめちゃんはロフトベッドへ上がる階段の途中に腰かけて、「こんにちは」の代わりに、おでこに猫キスしてくれたのだったね。あの時から、いつも、そばにいてくれたね。

ジャンプが得意で、キッチンのいちばん高い棚にも登ったし、窓から非常階段へも飛び移っていたきみ。事故で六階から転落したときも、生きていてくれた。屋上に冒険に出ては、枯葉や黒くてもぞもぞする虫の「おみやげ」を持ってきてくれたっけ。上西街に越してからは、時々、赤いハーネスをつけて近所の公園にお散歩にいったね。石塀の上に腰かけて、ひげをふるわせながら、風の匂いを嗅いだね。

2

ありがとう、ニャンニャちゃん。

きみが翔びたった直後は、きみがいない家に帰ってくるのが怖かった。恐る恐る部屋の扉を開けるとしかし、まるでこの部屋にはまだきみがそこにいるみたいにまあるい気配が宿っていて。蝋燭を灯して、ありがとう、と祈り続けて、気がついたらもう空には春の明るさが戻りはじめているのだね。

ありがとう、ニャンニャちゃん。

きみの姿が見えず、声が聞こえず、抱きしめられないという事の不条理さ。きみの可愛い額を撫でたり、一緒に歌ったりできないという事の不可解さ。僕の心臓の下あたりにはまだ疑問符が、水溜りに広がる雨滴の波紋のようにふつふつと浮かんでは消えまた浮かび続けているのだけれど、きっときっときっとまた会えると信じています。



顔をあげて天を仰いでみても蒼い空のどこかにきみがいる、とはなかなか信じ難く、むしろ「天」と呼ばれるそれは目に見える世界の境界を越えたもうひとつの世界ではないかと思う。きみは軽々となった身体で雲の上に跳び上がり、得意げに此方を見下ろしたりしているのではないかしら。

聞こえるかな。
届くかな?


ありがとう。ずっとずっと、ずっと、大好きだよ。
 
author : watanabe-yo
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ごめんなさいまた今日も書けなかった

【2014.02.03 Monday 15:18
ごめんなさい、先週も今週もブログ書こうと思っていたけど、今日もだめだ...

秋から毎週続いてきた激務は漸く、少し落ち着いてきたのですが、夜学の勉強に追われています。
今学期は「合衆国憲法」、「会社法」、「メディア法」、「刑事と民事の狭間」という4コースを履修しています。この最初のふたつが大変なのだ!!!

合衆国憲法はたくさん読書の課題があって、いまはまだ19世紀〜20世紀初頭の判例が多いので文章が難しい(ていうか21世紀の判例も充分難しいよ)。その上、とても素敵な教授なのだが、授業の内容が高度すぎて、沢山の分析をしなきゃいけない、しかも頭がついて行けない。

会社法はまだなんとか、でも僕はもともとビジネスの素養がないから、なんというか、ピンとこない。車の運転判らない相手にクラッチの仕組みとか説明しても「ポカ〜ン」としてるでしょう、ああいう感じ。

そんなわけで日曜から月曜に代わる午前1時ですが、まだ予習している。ほんとうは、とても大切なことを、ここに書きたいのです。でも時間をきちんととって書きたいから、すみません、今日はこの「大慌て近況報告」をとりあえず記しておきます。

あ、ところでいままでこのブログでは自称「ワタクシ」を貫いてきましたが、これから「僕」も使いますがびっくりしないよーに。。。実はこどものころ、家では自分のことを「ボク」と呼んでいたのだよワタクシは。

さて、寝不足にならないよう、あと一時間だけ勉強してから寝ます。充分寝不足だなあ(ははは、、、、

週末はこんな感じで、家で勉強しつつ、洗濯とか買物とか(いつも朝出て夜遅く戻るから、週末は忙しいのだ)しています。ハドソン河沿いの空、今日はこんな感じだった。まだ寒いけど、冬の気配にどこか早春らしい柔らかみを感じました。

ごめんなさい、もうちょっと丁寧な文章を早く書きにくるよ!!!



*** 一夜明けて、追記 ***

結局昨夜は午前3時まで会社法の勉強して、だめだもう頭に入らん....と思って床に就いたものの授業の夢(?)を見て、6時半に起きたら学校から「雪のため本日休校」の報せが入っていました!! オオ、神は存在する!!
(ていうか高い授業料払っているから、本来なら「休校だとぉ!? 補講授業はあるのか!!」と要求するべきなのだが、とりあえずこっちもいっぱいいっぱいなのである...)

外はこんな感じ。


学校はヤワだからすぐ休校しちゃうけど(だから助かる...にゃは)
職場へは当然、行きます。でも夜の数時間だけでも今夜予習が出来ると思うと嬉しいよ。頑張って追いつかなくては!!  
毎週こんな感じなのです。

みなさまの一週間のはじまりが...もう少し穏やかなはじまりであることを願いつつ。
author : watanabe-yo
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去りゆく9月に。

【2009.09.29 Tuesday 20:45
 みなさま、9月も終わりですね・・・

そしてワタクシはやっと、衣更えをしました!

9月のニューヨークって、普通はまだ「夏の名残り」という雰囲気が強くて、そんなに寒くならないんです。今年は冷夏で9月も早々に肌寒くなったのですが、なんだかすぐに秋冬ものを出す気になれなくて・・・

まだ夏の光が残る、9月のセントラルパークへいそげ!

一週間前の話になってしまうけれど・・・久々に会う友達と、こっそりワインを持ち込んで(内緒ですよ。しぃ〜っ)ピクニックしていたのです。樹々の葉っぱはまだ緑だけれど、ところどころ黄金に変わっていて・・・

風が吹くとササーッと音を立てて金色の葉っぱが舞ってくるのです。そんな木の葉をちょこんと頭にのせて飲むワインもまた美味し♪

こんなにかわいい「ふたりヒルネ」風景も見つけましたよ。でも日が落ちるとひんやりしてきます。温かいスープが恋しいこのごろ・・・

とっぷり日が暮れた公園の、なんていうんでしょうね、トンネルというよりも広い、地下の広間みたいな空間があるのです。そこでひとり、ギターをつまびくお兄さんがいました。

音楽家はいいなあ。こういう楽器がひとつできたらいいなあ、と心から思います。

さてさて。週末はこうしてのんびりするけれど、平日は至って地味なワタクシの日常です。朝起きて、猫に怒られながらご飯あげて、顔を洗って、髪をマキマキしながら(ホットカーラー使用)、「なんちゃってヨガ」をやって・・・。低血圧のせいかな、朝のしたくに時間がかかるのです。目覚めてから最低2時間して、ようやく家を出ます。家を出るころはもうヘトヘトよ(笑)

そうしてオフィスで朝ごはん。定番はクリームをちょっと入れた深煎りコーヒーと果物、そしてヨーグルト。

ランチには前の晩にサンドイッチと、野菜関係一品(というほどもない、生野菜とか簡単なソテーとか)を用意します。毎日、朝のフルーツ+ヨーグルト、そしてランチを持って地下鉄に揺られ、通勤しています。

オシゴトの大半は翻訳です。紙の辞書も助かるけれど、オンライン辞書にはほんっと〜うにお世話になっています。頭が上がりません。

月〜金はほんとに、毎日そんなに変わらないのです。ワタクシのキンロー状況については以前のブログ にてお伝えしましたが、職場内の細かな状況は変わっても、その後も基本は同じように毎日コンピューターに向かい、デスクでささやかにランチを食べ、周囲のビルを眺めては気分転換をし・・・そんな毎日をすごしています。

だからこそ、日常からちょっぴり“旅行”できる日は朝からワクワクしてしまう! 以前からお読みくださっている方にはお馴染みの話題カナ? ワタクシはメトロポリタン美術館(略称“メト美”)を心から愛しておりまして、夜9時まで開館している金曜日はかなりの確率でメト美に赴き、美術のお勉強をしておるのです。

メト美名物、エジプト展のデンドゥール神殿も、夜はこんなふう。「ここはナイル河畔かしら・・・」などと一瞬錯覚!?

美術館というよりは、博物館かもしれませんね。ここはいろんな部門があって広いので、通勤帰りのメト美受講ではいつも「今日はここ、とここ」といったふうに、特に好きな部門や新しく展示の模様替えをしたところを見るようにしています。

ワタクシの好きな部門のひとつは、18世紀ヨーロッパの内装部門。はい、ワタクシ前世がパリジェンヌでその前はボヘミアの騎士だったもんですから、いや〜なつかしいなあ。(←妄想癖) さ、では行ってみましょうかね。

しかし、普通の食器(とはいえ、たぶん貴族のものだけれど)なども、思いがけずニッコリしてしまう飾りが施されているんですよ。

剣で戦うチョウチョさん。

だれがなぜこのようなモチーフを選んだのか!? しかも後ろには「決闘に敗れて息絶えた(?)チョウチョ」が横たわっている、不思議な現実っぽさ。ちょっと仮面ライダー的でもありますね。

小鳥ちゃんかと思いきや、ミョーにリアルなオサカナちゃん。

ムツゴロー的なオサカナちゃんがぴょっこり顔を出しているこれは、お砂糖をいれる壷の蓋でした。

これはワタクシの居間のシャンデリアなのです。

そしてこれは僕の寝室さっ。こういう明かりが現在の寝室にも欲しいものだ。

困っているのか笑っているのか、微妙な表情でヒトを魅了するワンコ。と思ったらワンコじゃなくて、雌ライオンさんだそうです。

この方は、カレシ。

こ、この方は・・・。

調べてみたら、この方は「マンティコア」という伝説の動物で、ライオンの身体にニンゲンの男性の顔がついているのだとか。どうします、みなさん。夜道を曲がったらこんなヒトがいて、「ケケケーッ」なんて笑っていたら!?

掌にのるような、小さなティーポット。どんなお茶を飲んでいたんでしょうね? 蓋をよく見てください! 蛇が「シャ〜ッ」というと、取っ手の翼竜が「ギャ〜オ!」と返す。作った人も楽しんで作っていたと思うし、使った人もこれでお茶入れるの、楽しかっただろうなあ。ワタクシならこのポットで濃いめのミントティーを煎れ、きれいなガラスの、はちみつを入れた小さなグラスに注いで飲みたいなあ。

ひとりでお話をつくりながら館内をうろうろしているうちに、あっと言う間にメト美閉館時間が近づいてきました。

最後にはいつも、ギリシャ・ローマ部門を通って帰ります。いちじくと同じく(あっ洒落じゃないよ)、ワタクシは好きなものは繰り返し味わうタイプでして・・・

たとえばこの紅。この色合いに、そして表面の風合いに、いつも目が釘付けになってしまう。

そしてこの部屋。

これは、アウグストゥス皇帝時代の、ポンペイのそばの宮殿の寝室なのです。漆のような、墨のような黒と、「トロンプ・ルイユ というだまし絵の技法を使った、何か不思議な空間です。

いつかある日、世界の終わりが訪れるとしたら、わたしはこの部屋にニャニャムジカ姫を抱いて座っていたい。壁の向こう、どこか遠くからドーン、ドーンとくぐもった音をたてて世界が崩れてゆくのを聞きながら、この壁の漆色を眺めていたいのです。

なんでそんなことを考えるんだろう? 不思議だけれど、この部屋にくると必ずそう思う。そしてその日が待ちきれなくて、なぜかいつも切なくなってしまうのです。

メト美にいると、時間の流れがほんとうに惜しくて。さ、下校の時間ですよ・・・

マンハッタンも、日が暮れるのがすっかり早くなってきました。みなさんのところもそうかしら。暖かくしておすごしくださいね!

 

 

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すみか通信2 & September LOVE

【2009.09.08 Tuesday 12:20

みなさま、いかがおすごしでしたか? 9月最初のManhattanHourですよ!

ダウンタウンの、ワシントン・スクエア・パークにて。

 アメリカ合衆国では、9月最初の月曜日はLabor Dayといって、お休み。勤労感謝の日みたいなもので、3連休になります。しかし多くのアメリカ人は8月にバカンスを取るので、このタイミングでキンローに感謝しちゃってもよろしいのかしら??

僕らにバカンスはなーい! 

・・・食べもの探しに多忙なリス君談。

素朴な疑問を抱きつつ、3連休は嬉しいものです。この数週間、週末といえば引っ越しに大わらわだったワタクシ。ようやく新居がほぼ片付いたこの週末は、友人と会ったり、ダンスのレッスン(今度報告しますね♪)を受けたりして、ゆっくりすごすことができました。

さて、今週は2本立て。まず、プチすみか通信その2ですよー。今週の「すみか新部員」は、この方です。

 

どーんと置かれたデカ・段ボール箱。ここにはワタクシ&ニャニャムジカ姫の“時間”が詰まっています。

ん? それってどういう意味? 

流れ出す白い物体は、とあるゲージツ家の現代美術・・・・じゃなくて

このたびいくつか家具を買い足したのですが、これはそのひとつ・・・エスプレッソ色のラブシートなのです。アメリカでは「ソファ」というと3人掛けくらいの長いものを指し、2人掛けのコンパクトなものは「ラブシート」と呼ぶみたい。

うう、LOVE・・・

現在のワタクシにはあんまり縁のない言葉ですけど、ラブシートが家にあればラブが寄ってくるかしら(横目)

いやいや、何を言ふのじゃ。友人たちとか、愛する空色庵訪問者のみなさまとか、最愛のニャニャムージカ姫とか、LOVEはいっぱいあるじゃんか。ああよかった(安心)。そうなんです。段ボール箱にはワタクシとニャニャムジカ姫がここですごす、ラブリーな時間が詰まっていたのでしたわ?

なんだか語尾が乱れがちですが、それはいいから早く組み立てようぜ、と某大工愛好会会員(=ワタクシ)が言うわけです。基本的には背もたれ+座席に、左右の肘掛けをくっつけ、4本の脚を入れて終わり。組み立てに使うのは「六角穴付ボルト」と「座金」です。もともと名称を知っていたわけじゃなくていま調べたんですが、こういう言葉を普通に使うのってカッコいいな。

この丸いのが「座金」で、ここにボルトを組み込み・・・ちなみに「座金」は英語では「ワッシャー」だそうです。いくぜ、ワッシャー!!! と妙な盛り上がりを見せつつ、

六角棒スパナでねじ込んでいくわけです。くぅ〜っ、楽しいね!

はいっ。できましたよ!

うれしいニャ

 

さて、リビングが整ったところで、今週のお題その2に行きましょうか。

念願のガスコンロ。嬉しい理由のひとつは、大好きな月兎印のケトルが使えるから!

いままでのお部屋のキッチンはほんとうに小さくて、冷蔵庫もままごとサイズだったのですが・・・新しいすみかの冷蔵庫は念願の普通サイズ! おいしいものを見つけても「これ、冷蔵庫に入るかなあ?」と悩まずに買えるのって、なんて贅沢でうれしいことだろう♪

と喜びつつ、フト冷静になって、自分の冷蔵庫の中身を点検してみたんです。

 チーズ、5種類
 ヨーグルト、たくさん
 ワイン2本(今年はロゼばかり飲んでいます) 
 野菜(セロリ、キノコ類いろいろ、エンダイブ
 生ハム&「サラミ・ロサ」という食べやすい味の薄切りサラミ
 グリーンオリーブ
 オリーブ油に漬けたアーティチョーク
 そして・・・

ええとまず、完全に酒呑みの冷蔵庫です(苦笑)。そして乳製品が多い。これが日本なら、おいしい京都の漬け物とか、明太子とか、愛する鰆の西京漬とか、そしてマンハッタンでは簡単に手に入らない茗荷や紫蘇の実なんかを入れておきたいのですが・・・郷に入っては郷に従えといいますからね。Do in Rome as Romans do、というやつです。すべての道はローマに通ず。ローマは一日にして成らず。

ええと、ことわざ★Hourじゃなくて・・・

乳製品が多いとか、酒の肴しかないとか、ツッコミどころはいろいろありますが、問題はこの「そして・・・」なんです。

これ、なにかというと、

ひとりで食べるには欲張りすぎる量のフィグ。実はこの写真撮影後、もう一パック買ってしまい・・・食べるヒトは自分だけなのに3パックものフィグを抱える、煩悩に満ちたワタクシです。

そういえば、「いちじく」と言うときいつも少し緊張してしまうのです。自分はいま「いじじく」と言わなかったか? 確かに「いぢぢぐ」と言っだようなぎがずる・・・・

・・・・。

ワタクシの日本語能力に限りなく挑戦してくるこの果物。しかしこのヒトを、いやこのフィグを、ワタクシは限りなく愛しているのです。

昔、育った家にいちじく(←日本のおうちですからね、ここではフィグではないわけ)の樹がありました。この樹から採れる実はどちらかというと薄味で、水っぽい果物だなあと思っていたのですが・・・

ワタクシを開眼させたのは、1ヶ月の語学留学をさせてもらった、南仏でのこと。語学学校付属の寮に滞在していたのですが、ここの庭にフィグの樹がたくさん植えられていたのです。日本の実家のいちじくよりずっと小振りな、黒い実。朝の散歩の途中、こっそり採って皮をむき、口に含んでみると・・・

それはねっとりと甘くて、プチプチはじける種が楽しくて、そこでワタクシは恋に落ちたわけです(やはりテーマはLOVEか)。

それ以来、夏の終わりにはこの悩ましい果実を探さずにはいられない。果物は全般に大好きなのですが、「どのコがいちばん好き? ひとりだけ選ぶのよっ」と迫られたら、フィグを選んでしまいそうです。

ロゼワインにも合う、白いチーズ&フィグ。チーズはリコッタチーズ(日本なら、裏ごしカッテージチーズが一番近い気がします)+フレッシュ・シェーブル。シェーブルは山羊乳のチーズで、少しだけクセがありますが、黒胡椒+はちみつを合わせるとすごくおいしいのです。はちみつを切らしてしまったので、ここではただ黒胡椒をぱらぱら。フィグの甘みとチーズのまろやかさが極上の組み合わせです★★★

いかん、もっとキッチンですごす時間についてレポートするはずだったのですが、溢れるフィグ愛を抑えきれませんでした。

ううむ、次回以降、改めて葉的KITCHENHOURのご報告もしてゆきたいと思います。

今週の「幸せな後ろ足

author : watanabe-yo
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風が訪れる部屋で

【2009.08.31 Monday 13:22
 みなさま、庵びらき祝いのコメントを多数、ありがとうございました。モノカキ業をはじめて何年にもなりますが、ブログという形態で執筆する醍醐味はやはりみなさまとの直接のおしゃべりにあるな〜と実感しています。ものを書くというのは「そこにいるあなたに語りかける」作業だけれど、雑誌や書籍という媒体での「語りかけ」は一方向的な部分が多い(たまにお手紙をくださる方もいて、そういう方には必ず手書きでお返事しています)ので、こうしてみなさまの“声”を聞けることはホントにうれしいの! 

きゃ〜パチパチパチ(拍手)

★ ★ ★ ★ ★

エート、やや調子が乱れましたが・・・


今週はワタクシの新しいすみか通信ですよ! 


部屋づくりって楽しい! というコメントをたくさん頂きました。そうですよね、やっぱり自分の「巣」だもの。今度のアパートはそれほどDIYをする必要はないのですが、それでも世界大工仕事同好会会員番号938575番のワタクシ、ドリルをふるう機会は逃しません♪



まずは、本棚。これは去年の引っ越しで買ったIKEAの本棚なのですが、そのまま移動させるにはチョイトかさばる。ので、引っ越しの際にはネジを外して解体し、新居で組み立てました。一応「ふたりがかりで組み立てる」と説明書にあるのですが、こんなもんはもうひとりでお茶の子サイサイです。ところでこの「サイサイ」ってなんでしょう。国語辞典を引いてみましたが特に説明はありませんでした。「再々」じゃないし、万歳の「歳」で「歳々」かな。


話がそれましたが、エートこんなもんはお茶の子だよ、という話でした。しかしこの「お茶の子」ってなんでしょうね?


エー、ともかく・・・


今回新しく、小さなキャビネットを買いました。キッチンの棚が高いところにあるので、しょっちゅう使うワイングラスやティーポットなど、簡単に取り出せるところに収納したいな、と思いまして。これを買ったお店はBed Bath and Beyondという、まあその名の通りシーツや枕などのベッド関係、バスやトイレまわりの小物を含め、カーテンやらちょっとした家具やら食器やら売っている、生活雑貨の総合店です。アメリカ全土にあるみたいなので、米国在住の方にはおなじみなのではないでしょうか。



これね、バラバラの状態で来たのをここまで組み立てたのです。夢中になっていたので「使用前」の写真を撮るのを忘れましたが・・・


で、これが完成図♪


このキャビネットは99ドルで買ったのですが、うーんやはり、もうちょっとお金をかけないとしっかりした家具は望めないのですね。ドライバー一本で組み立てられる手軽さはよいものの、ちょっとグラグラしていて・・・組み立てながらもバラバラ分解してくるし(冷や汗)。添付の金具もちょっと心もとない。しかしまあ一生懸命ネジをねじねじ留めた結果、それなりに形を保っているので、しばらくはなんとかなるでしょう。


こういう組み立て作業、ワタクシはオフィスでキンローして帰宅し、ちょいとご飯を(というか酒肴を)食べて、それからやるわけです。夜10時とか、11時とか。それなりにヘロヘロ疲れているのですが、こうして自分の手で何かをすることで、自分の生活が一瞬にして整っていく、そういう作業は嬉しいものです。


大工仕事愛好会会員ですからね、こういうものを見ると腕が鳴るのさ

ポキッ


さて、今回の一番の目玉は、カーテンでした。実はね、1年間ずっと待っていたんです。このカーテンをつけるのを!


どういうことかというと、前回にもリンクした1年前のコワーイお引っ越しの際、花柄のきゃ〜ロマンチック、なカーテンを買っていたのです。こんなカーテンをつけたら毎日楽しいだろうな、と思って。しかしそれをつけた部屋は、ロケーションが怖かったので2週間で引き払ってしまい、その後入居した部屋では窓の形が合わなくて、つけられなかったんです。(でもいつか、きっと)と思い続け、この部屋を見たとき「ここならあのカーテンがつけられる、かも!?」と思いました。


この部屋のメインの窓はけっこう大きくて、そこに前の住人が購入したという木製のブラインドがついています。



これはこれでクラシカルな感じで嫌ではないのですが、ワタクシはお花のカーテンが欲しいの!!


とレースのハンカチをキーッと噛みながら管理人のベンおじさんに梯子を借り、エキストラロングのカーテンロッド(カーテンの棒ですね)を買って、とある晩にダダダダダとドリルで壁に穴をあけ(カーテン棒などは、ただネジで留めるだけでなく、“スリーブ”などと呼ばれるプラスチックの留め具を入れるとしっかり重さを支えてくれるのです)、何度も梯子を上ったり降りたりし、つけましたよ!!



いや〜みなさま、この夏何がうれしかったって、ワタクシはこのカーテンを吊るしたことが本当にうれしかった。いまもうれしい。毎日カーテンを眺めてはムフ〜と笑ってしまうくらいなのです。花柄の透けるカーテンの手前には、銀色のカーテンをつけました。この布地、「リキッド・ゴールド」っていうんですって。確かに流れる金のような、いや銀のような・・・



ワタクシの不在中に管理人のベンおじさんが梯子を取りにきたのですが、その後で会ったときに言ってくれました。「君、カーテンの金具をきちんとつけたね。いい仕事だ」って。ニューヨークのアパートの管理人は、空き室になったアパートをきれいにするための、ちょっとした大工道具は日常やっているので、ある意味「なんでも大工さん」なのです。そういうプロからいただいたお褒めの言葉。ワタクシは思わず「やったぜ」ポーズを取ってしまいました!



花柄カーテンを透かして入る晩夏の陽射しに、ニャニャムジカ姫もご満悦のようすです。そして、窓から吹き抜けてゆく風の気持ちいいこと。


こちらは、キッチン側にある窓。ここからいい風が入るんです


先週、「風を感じる部屋」のようですね、とコメントいただきましたが、まさにそうかもしれない。それなら、この部屋は空色庵にあやかって「風色庵」って命名しちゃおうカナ〜。

カゼイロ? 却下にゃ


ん? だめだって?


なんで?


あ・・・このお部屋にはもう名前がついていたそうです。「ニャニャムジカ城」なんですって。


それでよいニャ

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渡辺 葉
NY&NJ attorney
writer
translator
interpreter